誰にでもあるであろう心の闇を誰にも言えず背負い込み、ふと歩みを止め人生を振り返って大切な事は何か、自分の本当に好きな事は何かかを見つけるために、またそれを忘れないように書き綴ったブログです

心の闇から見えた人生の履歴書とその哲学

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絶望の成年期(9話)

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地獄の新聞奨学制度

 

閑静な住宅街と緑が融合する

住みたい街ランキングでは

常に上位の街、東京都三鷹市

に配属された。

 

学費も持ってもらえて

給与ももらえる制度だが

やはりおいしい話ほど裏があるのです。

 

そこに待ち受けていたのは

人間として扱われることがない

生き地獄でした。

 

朝刊の配達

 

朝は2時に起き

その後バイクで営業所へ行き広告を織り込む

織り込んだ広告を新聞へ挟んだら

自分のバイクへ積み込む。

4時に織り込みを終えなければ

配達終了時刻はは7時を回ってしまう。

 

さらに雨が降っていれば

ビニール処理をする。

まさに時間との勝負。一刻の猶予もない。

 

年末年始になると広告は厚みを増し

新聞はゆうに10センチを超えた

一人が担当する顧客は300~400件。

 

朝の配達が終われば販売店で朝食を取ることが可能だが

悪天候や朝寝坊で配達が遅くなれば

早く配達を終えた輩に食べられてしまう。

 

夕刊の配達

 

朝刊の配達を終えたら

ようやく専門学校へ行くことができた。

しかし15時には夕刊の配達があるので

仲間と遊んでいる暇は無い。

 

夕刊は広告が無く厚みも薄いので

かかる時間は朝刊ほではない。

 

集金と営業業務

 

配達の他にも

全顧客の集金業務。

なかなか払って貰えない場合

自分の給与から差し引かれた。

毎月もらえる給与は当時13万2千円。

そこから寮費や税金、

集金の不良債権強制買取で

毎月手元にはほとんど残らなかった。

 

新聞奨学生は

営業はしなくてよい契約だったが

営業をやらなければ

生活を維持できないまでに追い込まれた。

 

営業ノルマはかなり厳しい。

ノルマに達しない場合や集金業務進捗が悪い場合は

寮に帰って休む事さえ許されず

それでも取れない場合は

強制的に休日返上という

暗黙のルールが施行された。

 

店長の口癖は

「義務を全うしないものに権利を主張する権利はない」

常に人をフルネームで呼び

成績不振を執拗に責め立ててくる。

パワハラ以外の何物でもない。

次第に学校へ行く時間も無くなり

ノルマ達成のため毎日を凌ぐ以外、

選択支はなくなっていった。

 

営業プロ集団「ダン」

 

営業成績が思わしくないと

「ダン」と呼ばれる

プロ営業集団が投入される。

僕から言わせてもらうと

それはプロでも何でもない。

 

契約を取るために

商品券・ビール券・テーマパークのタダ券・・・

何でも使用が許されていた。

新聞代より価値が高いものをチラつかせ

3か月とってくれたら差し上げますよ。

 

こう切り出す。

新聞の3か月分と言えばせいぜい1万円くらいだが

そこでは2万円以上のものを配って

契約を取ってくる。

 

対して僕が契約の対価として

使用が認められていたのは

洗濯用洗剤「TOP」

これだけである。

 

客が一度味をしめると

僕がいくら契約の更新をお願いしても

判を押してもらえることは無かった。

 

あくまで僕は

毎日滞りなく新聞を届けている実績と

誰も欲しがらない「TOP」で勝負するしかなかったのである。

 

ごく稀に

毎日の僕の頑張りと人柄を評価してくれて

「ダン」の執拗な勧誘も断り

[毎日配達してくれる人じゃないと判は押さない]

そう言ってくださった方もいた。

こういう方はなかなかいない。

今考えればこういう人たちの気持ちに応え

そこから学んでもっと自分を高めるべきだったと痛感します。

 

やはり心が貧しかった当時は

お金持ちを妬み、その格差に対する不公平感で

ネガティブな思考に支配され

自分ではもうどうすることもできなかったのだと思います。

 

新聞奨学制度の現実

 

一年間で

2~3名の新聞奨学生が配属されるが

皆途中で逃げて行きました。

 

帰る場所があるのは

とても幸せなことなのかもしれない。

叔父に保証人になってもらっていた手前

僕には逃げる場所も 隠れる場所も

帰る場所も存在しなかった。

逃げたら負け、

親族には迷惑をかけるわけには絶対にいかない。

 

そんな思いで2年をかけて完走しましたが

もう一度やりたいかと聞かれれば

絶対にやりたくはないです!!

もしかすると懲役よりも辛いかもしれない。

 

とにかく

もう二度とこんな思いをするのは御免です。

 

ただ新聞屋さんに集まってくる人間っていうのは

小指のない元やくざの人

マリファナを育てて捕まった人

クスリをやっている人

寮を放火して逃げた人

偽ロレックスを1万で売り裁いていた人

自称やくざと語り元やくざにボコられる人

 

いろいろと事情を抱えたヤバい人が多いです。

ある意味、人間味のある面白い人達なので

サラリーマンをやっていたら一生会えないでしょうね。

 

結論を言えば

新聞屋と学業の両立は

決して無理ではないけれど

学業の質というところまで追求するならば

極めて難しいでしょう。

これが紛れもない新聞奨学制度の実態です。

Nend B2


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