誰にでもあるであろう心の闇を誰にも言えず背負い込み、ふと歩みを止め人生を振り返って大切な事は何か、自分の本当に好きな事は何かかを見つけるために、またそれを忘れないように書き綴ったブログです

心の闇から見えた人生の履歴書とその哲学

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暗黒の幼少期(2話)

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家出決行

父の飲酒や暴力に耐えきれなくなると私たち兄弟は

ときどき家出を決行した。

 

行く当てなどなくただひたすら

静まり返った国道を2人で歩き続けた。

 

食料をこっそり渡す母と合わせぬよう、ある時から

父の職場の同僚で子分みたいなチンピラが監視役で家にくるように

なっていた。

 

その子分に見つかってしまえば再び家まで連行され

ひどい目に遭わされる。

 

ある時は限界を感じて母の実家に身を寄せる事を思いついた。

子分の監視を振り切り急いで国道へ走り出し

車の入れない細い路地へと逃げ込んだ。

大丈夫、道は覚えている。

 

やっとの思いで駆け込んだ母の実家。

そこには年の近い仲の良かった従弟たちもいた。

当然かくまってもらえるものだと思った。

 

しかしそこで祖父に

「お前たちは父を選んだんだろう」

「ここはお前たちの家ではないから帰りなさい」と

 

非常な言葉を浴びせてきたのだ。

わが子を谷底へ落とす気持ちでの発言だとは思うが

祖父たちは私たちをまるでわかっていない!

 

 

どんなに恨んでも、どんなに辛くともこの修羅への道を選択したのは

紛れもなく私たち兄弟であることは変わりないが、

私たちがあのとき母と暮らす選択をしていれば祖父たちの命はなかったはずだ。

 

もう頼れるものはどこにもない寂しさに背中を押されるように

私たち兄弟は元の場所へと帰っていった。

 

 

 

黒ずくめの男たち

 

離婚が成立して母とは離れ離れの生活。

頭では理解していたつもりであったが、

どうしようもない不安と寂しさに心が押しつぶされそうになっていた。

 

父は相変わらず飲み歩き、

家にはなかなか帰って来ない。

 

ある日の夜、

玄関の戸を乱暴に何度も叩く音が響く。

しかも尋常ではない。

何か怒鳴っている。

 

父でも母でもない。

2階の階段の出窓から

恐る恐る下を除くと、何人かの

黒ずくめの男たちが

家の周りを囲っているのが見えた。

 

僕たち兄弟は凍り付き、息を潜め

身を寄せ合う以外、方法はなかった。

どうやら父は闇金にまで手を出したらしい。

 

近所からうわさを呼んで

同級生の親たちは私たちを遠ざけてきた。

近所の住民からは好奇の目にさらされた。

 

家を奪われる

 

闇金にまで手を出し姿をくらます父。

この一件が近所に広まり、小学校では

いじめの対象になってしまった。

 

やがてこの家には査定会社がやってきて

しばらくすると

退去勧告の手紙が投函されるようになった。

 

誰一人と

手を差し伸べてくれる者はいない。

この家まで奪われたら

私たちはどこで生きてゆけば良いのだろう。

 

Nend B2


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